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MFT②~舌癖の種類について~
今回は舌癖の種類についてご説明します。大きく分けて4つに分類されます。舌癖の種類によって症状や歯並びへの影響が異なりますので、ご確認ください。
①咬舌癖(こうぜつへき)
無意識のうちに、上の歯と下の歯で舌を咬んでしまう癖のことです。主に前歯で咬むことが多いです。咬み合わせに異常をきたし、発音に悪影響が出ることもあります。
舌の前半分を咬む例。開咬部が広く、舌癖による影響が大きい。
②低位舌(ていいぜつ)
舌が適切な位置よりも低い位置にあり、下の歯列のアーチに収まっている状態を言います。舌が押し付けられることから、舌の側面に歯の痕が見られます。開咬や反対咬合、スペースアーチ(隙っ歯)につながります。
上記の患者さんは、低位舌のため下の歯並びにスペースアーチが見られます。下顎前歯前突もみられ反対咬合になっています。
低位舌の影響で舌が下の歯列に押し付けられることにより、舌の側面に舌痕がみられます。
③舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)
舌を前に押し出してしまう癖です。長期にわたって指しゃぶりを繰り返して出っ歯になったり、上の歯と下の歯が咬み合わなくなり上下間に隙間ができると、その隙間に舌を入れることが癖になり、舌突出癖に移行してしまいます。
上記の患者さんは、乳歯が抜けそのスペースに舌を入れ込むことにより、永久歯の萌出を妨げています。また、側方歯開咬の症状がみられます。
④異常嚥下癖(いじょうえんげへき)
食べ物や唾をゴクンと嚥下(飲み込む)する際に、舌が前に出てしまう癖です。正しい嚥下は、舌の表面が上あごにくっついて、上下の歯が接触しながら飲み込みます。しかし、異常嚥下癖があると、嚥下すると同時に上下の歯の接触が起こらず、舌が上の歯と下の歯の間から飛び出してしまいます。
⑤その他
矯正治療を始めて新たに舌癖が出てきた場合。お口の中の環境が変わったことにより今までなかった舌癖がかみ合わせに影響を及ぼすことがあります。歯の動的治療期間(歯を動かす期間)が伸びて、予定通りに治療が終わらなくなることがあります。
矯正中の患者さんです。治療の為、上下の小臼歯を抜歯しました。そのスペースを利用して歯を動かす予定でしたがそのスペースに舌を入れ込んでしまう新たな舌癖により、なかなか歯を抜いたスペースが閉じてきませんでした。そのため、治療期間が伸びてしまいました。
上記の写真のケースについて説明します。治療中、より良いかみ合わせを得る為に患者さんに取り外しのできるゴムをかけてもらうことがあります。エラスティックス(ゴム)の作用により前歯のかみ合わせが深くなる予定でしたが、3ヶ月経ってもなかなか変化がありませんでした。エラスティックスの長時間の使用と、舌癖トレーニングにより2ヶ月後、良いかみ合わせに近づいてきました。
このように、舌癖により歯の動きが妨げられることにより歯の移動が予定通り進まないことがあります。
いかがでしたか。正しい舌の位置は、上顎の<スポット>にくっついていることです。もし、上記のような症状がある場合は舌癖トレーニングを指導させていただきます。治療には、患者さんの意識改革がとても重要な為、一緒に頑張りましょう。
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