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矯正用インプラントアンカー(ミニスクリュー)を利用して大臼歯の欠損スペースを閉鎖した症例
- 14~19歳
- その他
- 表からの矯正
一般歯科からの紹介にて来院された19歳女性の患者さんです。歯根破折のため右上の第一大臼歯を抜歯されており、さらに上下顎歯列にそれぞれ1本の永久歯先天欠如を認めました。ミニスクリュー(矯正用インプラントアンカー)を利用して欠損部のスペースを閉鎖するなどの矯正治療を行いました。
矯正前
Before Ⅰ
Before Ⅱ
Before Ⅲ
Before Ⅳ
本症例においては、右側上顎第1大臼歯が欠損、右側上顎側切歯ならびに下顎中切歯が先天欠如していました。
永久歯の先天欠如歯が認められる場合、咬み合わせ上 可能であれば矯正治療により欠如部のスペース閉鎖を行います。
本症例においては、ミニスクリュー(矯正用インプラントアンカー)を用いて上顎右側第1大臼歯の欠損スペースに第2大臼歯を近心(前方)移動しました。その後萌出してきた第3大臼歯(親知らず)にブラケットを追加装着し近心(前方)移動及びコントロールを行い、これにより欠如部のスペースを完全に閉鎖しました。
下顎歯列においては限局的にIPR(エナメルストリッピング)を行い、非抜歯にて叢生の改善と若干の下顎前歯部の後方移動を行いました。
Before Ⅲ は、上顎第一大臼歯欠損部位付近に矯正用インプラントアンカー(ミニスクリュー)を植立した写真です。
矯正後
After Ⅰ
After Ⅱ
After Ⅲ
After Ⅳ
矯正治療終了後において欠如部のスペースが全て閉鎖され適正な咬み合わせとなりました。右上側切歯欠如部に位置する犬歯についても、歯冠形態修正により自然な外観となりました。結果として欠如部の補綴処置(人工の歯を取り付ける治療)は不要となりました。
今後、上顎左側側切歯の矮小歯においては矯正治療終了後一般歯科にて審美的な目的にて補綴処置による形態修正が望ましいです。
治療後のパノラマX線写真において、右側上顎中切歯には矯正治療における一般的な副作用である歯根吸収が認められました。
After Ⅲ の写真は、矯正用インプラントアンカー(ミニスクリュー)を利用して下顎の大臼歯を牽引しているイメージですが、本症例は上顎大臼歯の近心(前方)移動を行いました。
動的治療期間 : 2年11ヵ月
治療費用:約90万円
矯正治療には一般的に以下のようなリスクと副作用があります。
・患者さんによる適切なブラッシングが行われなかった場合に虫歯ができることがあります。
・ブラケット(装置)が粘膜を過度に刺激した場合、口内炎が起こることがあります。
・歯の初期移動の際に痛みを感じる場合があります。(通常数日で治ります)
・長期間の歯の移動により極めて希に歯根吸収が起こることがあります。
・矯正用の取り外し式ゴムを指示通り使用しなかったり、口腔の悪習癖が改善されない場合、計画している歯の動きが得られないことがあります。
・歯の裏側にブラケットを装着して治療を行う場合、装着後一定期間発音障害が起こることがあります。