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外科的矯正治療を行った重度の開咬症例。
- 14~19歳
- 顎変形
- 開咬
- 表からの矯正
18歳男性の患者さんです。重度の開咬を主訴に、一般歯科からのご紹介で来院されました。上下顎骨の垂直的な位置不正(顎変形症)が原因となった開咬症です。外科的矯正治療にて治療を行いました。
矯正前
Before Ⅰ
Before Ⅱ
Before Ⅲ
Before Ⅳ
上下顎歯列に軽度の叢生(ガタガタの歯並び)を認め、下顎骨の変形(後下方への回転)により開咬となっています。開咬の範囲も程度も重症性が高く、上下顎歯列において合計4本の奥歯しか咬み合っておらず著しい咀嚼障害を認め、発音障害もありました。
Before Ⅳの写真は下顎骨移動手術のイメージです。
矯正後
After Ⅰ
After Ⅱ
After Ⅲ
After Ⅳ
マルチブラケットを用いて術前矯正治療を終了後、口腔外科での下顎骨の移動手術(左右側SSRO)を施工していただきました。その後の術後矯正治療を経て全ての歯が正常に咬み合う機能的な咬合となりました。咀嚼障害、発音障害はともに改善されました。
After Ⅳの写真は、下顎骨移動オペ時の骨片固定のイメージです。
術前矯正治療:1年3ヵ月、術後矯正治療:10ヵ月
〜顎変形症における外科的矯正治療とは〜
上下の顎骨の変形が認められたり、上下顎骨の位置関係のずれが大きい場合、通常の矯正治療だけでは改善できず、外科的な手術を行うことがあります。
〜外科矯正(顎変形症)治療の流れ〜
*は口腔外科での治療になります。
初診(相談):装置の説明など
↓
*口腔外科での診察:口腔外科医の診断、手術の説明(手術方法、入院期間など)
↓
精密検査:レントゲン撮影、顔面・口腔内写真撮影、歯型採取、下顎運動検査、筋電図検査など
↓
矯正診断:検査結果をもとに具体的な治療計画・期間・手術の時期や方法などについての説明、第1回目の治療
↓
術前矯正治療(1~2年):矯正装置をつけ上下の歯並びを整える(3週間に1回の通院)
↓
*手術前検査:手術前の検査(自己血採取、麻酔の検査など)
↓
*入院下による顎骨移動手術、顎間固定
↓
*退院
↓
術後矯正治療(約1年):顎間ゴムの使用(4週間に1回の通院)
↓
矯正装置の撤去:術後の検査、リテーナーセット
↓
保定期間(1.5年):リテーナーを使用して経過観察(4ヶ月に1回の通院)。
~費用について~
顎変形症の術前・術後の矯正治療ならびに口腔外科での顎離断手術は、顎口腔機能診断施設の認可を受けている医療機関(矯正歯科と口腔外科)両方で診断を受け、治療を行う場合のみ健康保険適用となります。
矯正治療には一般的に以下のようなリスクと副作用があります。
・患者さんによる適切なブラッシングが行われなかった場合に虫歯ができることがあります。
・ブラケット(装置)が粘膜を過度に刺激した場合、口内炎が起こることがあります。
・歯の初期移動の際に痛みを感じる場合があります。(通常数日で治ります)
・長期間の歯の移動により極めて希に歯根吸収が起こることがあります。
・矯正用の取り外し式ゴムを指示通り使用しなかったり、口腔の悪習癖が改善されない場合、計画している歯の動きが得られないことがあります。
・歯の裏側にブラケットを装着して治療を行う場合、装着後一定期間発音障害が起こることがあります。