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非抜歯にて矯正治療を行なった重度の開咬症例。
- 20代
- 開咬
- ガタガタの歯並び(叢生)
- 表からの矯正
一般歯科からのご紹介で開咬を主訴に来院された22歳女性の患者さんです。上顎歯列に叢生(ガタガタの歯並び)を認め、広範囲で重症性の高い開咬(部分的に上下の歯の接触が妨げられている状態)となっています。マルチブラケット装置を用いて小臼歯非抜歯にて治療を行いました。
矯正前
Before Ⅰ
Before Ⅱ
Before Ⅲ
Before Ⅳ
上顎歯列に叢生(ガタガタの歯並び)を認め、右側の犬歯から左側の犬歯まで広い範囲で開咬(部分的に上下の歯の接触が妨げられている状態)となっています。咀嚼障害(前歯で食べ物を咬み切ることが全くできない状態)と発音障害も認められました。嚥下時や安静時、発音時に上下の前歯部の間に舌を突出させる癖(舌突出癖)がありました。
Before Ⅳは、舌圧により歯が押されて前歯の咬み合わせが離れていくイメージです。
矯正後
After Ⅰ
After Ⅱ
After Ⅲ
After Ⅳ
開咬の原因の1つである舌突出癖の改善のためにMFT(筋機能療法)を行いました。マルチブラケット装置を装着し、Up & Down elastic (患者さん自身で取り外しのできる輪ゴム)を用いて、小臼歯非抜歯にて矯正治療を行いました。
MFT(筋機能療法)とエラスティックス(取り外しのできるゴム)装着に対する患者さんの良好な協力により開咬の改善が進んでいきました。しかし、治療途中においてエラスティックスの時間を減らすと残存していた舌突出癖により前歯部の咬み合わせが浅くなり、再びエラスティックスの使用時間が増えると咬み合わせが良くなることを繰り返しました。MFT(筋機能療法)によって舌突出癖が完全に消失すればもう少し早く動的治療を終了できたかもしれません。
MFT(筋機能療法)とエラスティックス装着の結果、上下顎前歯部は適切な咬み合わせとなり咀嚼障害・発音障害はともに改善されました。動的治療終了後も舌突出癖が起こらぬよう患者さん自身で意識を続けていただくことが大切です。
After Ⅳは、Up & Down elastic (患者さん自身で取り外しのできる輪ゴム)のイメージです。
動的治療期間 : 1年6ヵ月
治療費用:約90万円
矯正治療には一般的に以下のようなリスクと副作用があります。
・患者さんによる適切なブラッシングが行われなかった場合に虫歯ができることがあります。
・ブラケット(装置)が粘膜を過度に刺激した場合、口内炎が起こることがあります。
・歯の初期移動の際に痛みを感じる場合があります。(通常数日で治ります)
・長期間の歯の移動により極めて希に歯根吸収が起こることがあります。
・矯正用の取り外し式ゴムを指示通り使用しなかったり、口腔の悪習癖が改善されない場合、計画している歯の動きが得られないことがあります。
・歯の裏側にブラケットを装着して治療を行う場合、装着後一定期間発音障害が起こることがあります。