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顎変形症に起因する反対咬合~インターディシプリナリー治療にて外科的矯正治療を行なった症例~
- 20代
- 顎変形
- 受け口(反対咬合)
- 交叉咬合
- 表からの矯正
28歳女性の患者さんです。反対咬合を主訴に来院されました。骨格性下顎前突症で外科的矯正治療の適応症です。当院から口腔外科を紹介し、口腔外科においても顎変形症の診断を受けました。口腔外科とのインターディシプリナリー治療(専門医連携治療)にて外科的矯正治療を行なった症例です。
矯正前
Before Ⅰ
Before Ⅱ
Before Ⅲ
Before Ⅳ
上下顎歯列に叢生(ガタガタの歯並び)を認め、前歯部反対咬合(受け口)、上下顎正中線のズレが認められます。
診断の結果、下顎骨の過成長による前方変位と下顎骨の左側への側方変位が認められ、顎変形症にて外科的矯正治療の適応症と診断しました。外科的矯正治療においては、顎変形症の術前・術後の矯正治療ならびに口腔外科での顎離断手術に対して口腔外科と矯正専門医の連携による治療(インターディシプリナリー治療)が必要不可欠です。
矯正後
After Ⅰ
After Ⅱ
After Ⅲ
After Ⅳ
マルチブラケット装置を使用し、小臼歯非抜歯にて術前矯正治療を行いました。術前矯正治療終了後に口腔外科にて顎離断手術(下顎骨後方移動手術:左右側ともIVRO)を行なっていただきました。顎離断手術後は、口腔外科との連携をとりながら、後戻りを防ぐ顎間固定のための顎間エラスティックスなどを用いての術後矯正治療を行いました。
その結果、上下顎の歯列はともにキレイに整いました。反対咬合は改善され前歯部、側方歯部ともに正常で機能的な咬合となりました。上下顎歯列の正中線も一致させることができました。審美的にはオトガイ部の後退により顔面の側貌・正貌がともに著しく改善されました。
Before ⅣとAfter Ⅳの写真は下顎骨の手術のイメージです。
動的処置期間 術前治療期間 : 1y8m、術後矯正治療期間:1y1m
~費用について~
顎変形症に起因する不正咬合の治療(術前・術後の矯正治療ならびに顎骨の移動手術)は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合した「顎口腔機能診断施設」の認可・指定を受けている医療機関でのみ保険診療を受けることができます。
術前・術後の矯正にかかる費用負担は治療期間によって異なりますが、3割負担の場合20〜30万円です。
当院は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合した「顎口腔機能診断施設」の認可・指定を受けている医療機関です。
矯正治療には一般的に以下のようなリスクと副作用があります。
・患者さんによる適切なブラッシングが行われなかった場合に虫歯ができることがあります。
・ブラケット(装置)が粘膜を過度に刺激した場合、口内炎が起こることがあります。
・歯の初期移動の際に痛みを感じる場合があります。(通常数日で治ります)
・長期間の歯の移動により極めて希に歯根吸収が起こることがあります。
・矯正用の取り外し式ゴムを指示通り使用しなかったり、口腔の悪習癖が改善されない場合、計画している歯の動きが得られないことがあります。
・歯の裏側にブラケットを装着して治療を行う場合、装着後一定期間発音障害が起こることがあります。