ホーム » 症例検索 » 上下顎歯列に叢生を認める重度の開咬症例。
上下顎歯列に叢生を認める重度の開咬症例。
- 20代
- 開咬
- ガタガタの歯並び(叢生)
- 埋伏歯
- 表からの矯正
26歳女性の患者さんです。叢生(ガタガタの歯並び)と開咬(部分的に上下の歯の接触が妨げられている状態)を主訴に来院されました。上下顎歯列に叢生(ガタガタの歯並び)をともなう開咬症例です。マルチブラケット装置を用いて便宜抜歯にて治療を行いました。
矯正前
Before Ⅰ
Before Ⅱ
Before Ⅲ
Before Ⅳ
上下顎歯列に叢生(ガタガタの歯並び)を認めます。小臼歯部より前方は全て開咬(上下の歯が咬み合っていない状態)となっており、著しい咀嚼障害と発音障害を認めます。~全歯28本において大臼歯8本のみしか咬み合っていない状態です。〜
レントゲン所見では、上顎左側犬歯は隣の側切歯の歯根に重なるように前方傾斜し埋伏していました。埋伏歯を放置しておいた場合、隣在歯の歯根吸収(歯冠が他の歯の歯根を圧迫することにより、歯根が溶けてしまうこと)が起こる場合があるので早めの対策が必要です。
矯正後
After Ⅰ
After Ⅱ
After Ⅲ
After Ⅳ
精密検査に基づく診断の結果、上下顎歯列において便宜抜歯を行いマルチブラケット装置を用いて矯正治療を行うこととしました。便宜抜歯部位は上顎は埋伏している左側犬歯と右側の第1小臼歯、下顎は左右第1小臼歯としました。抜歯スペースを利用して叢生(ガタガタの歯並び)の改善を行いました。開咬に対しては、開咬の原因の1つである舌突出癖の改善のためにMFT(筋機能療法)を行い、Up & Down エラスティックス(患者さん自身で取り外しのできる輪ゴム)を使用して矯正治療を行いました。
その結果、上下顎歯列はともにキレイな歯並びとなりました。開咬も改善されて全ての歯が正常に咬み合う機能的な咬み合わせとなり、咀嚼障害・発音障害も改善されました。埋伏していた上顎左側犬歯の隣の側切歯の歯根吸収も認められませんでした。
下顎の犬歯ならびに下顎前歯部等に歯肉退縮が認められます。歯肉退縮については不適切なブラッシングの改善指導を行い、歯周病専門医のもとで今後歯肉移植等の処置が望ましいと考えます。
動的治療期間 : 2年3ヵ月
治療費用:約90万円
矯正治療には一般的に以下のようなリスクと副作用があります。
・患者さんによる適切なブラッシングが行われなかった場合に虫歯ができることがあります。
・ブラケット(装置)が粘膜を過度に刺激した場合、口内炎が起こることがあります。
・歯の初期移動の際に痛みを感じる場合があります。(通常数日で治ります)
・長期間の歯の移動により極めて希に歯根吸収が起こることがあります。
・矯正用の取り外し式ゴムを指示通り使用しなかったり、口腔の悪習癖が改善されない場合、計画している歯の動きが得られないことがあります。
・歯の裏側にブラケットを装着して治療を行う場合、装着後一定期間発音障害が起こることがあります。