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下顎大臼歯部の欠損をともなう成人の反対咬合症例。
- 30代
- 受け口(反対咬合)
- ガタガタの歯並び(叢生)
- その他
- 表からの矯正
33歳女性の患者さんです。前歯部反対咬合(受け口)の主訴にて他の矯正歯科医院からのご紹介で来院されました。マルチブラケット装置を装着し、前歯部反対咬合の改善と、一般歯科(補綴医)とのインターディシプリナリー治療(専門医連携治療)にて欠損部の補綴治療を行うための補綴前矯正治療を行なった症例です。
矯正前
Before Ⅰ
Before Ⅱ
Before Ⅲ
Before Ⅳ
前歯部の反対咬合および上顎歯列の叢生(ガタガタの歯並び)が認められます。診断の結果、骨格性下顎前突症ではなく歯槽性反対咬合と診断し小臼歯
非抜歯にて矯正治療を行うこととなりました。
右下第1大臼歯を数年前に抜歯されており、その後補綴治療を行なっていないため欠損部への右下第2大臼歯の倒れ込み(近心傾斜)が起こり、その結界として右上第2大臼歯の挺出が引き起こされている状態でした。現状では欠損部への適切な補綴処置(人工の歯を取り付ける治療)が行えない状態でした。
前歯部反対咬合の改善の他、欠損部の補綴治療にあたり歯列の整直・歯軸の平行性の確立・改善など矯正治療にて改善するべきことが多く認められました。欠損部付近の矯正治療については補綴医と矯正専門医の連携による治療(インターディシプリナリー治療)を行うこととなりました。
矯正後
After Ⅰ
After Ⅱ
After Ⅲ
After Ⅳ
治療初期において上顎にActive plate(患者さん自身で取り外しのできる装置)を用いて上顎前歯部の前方移動を行いました。その後、マルチブラケット装置を装着し、さらなる上顎前歯の前方移動と咬合平面の変化により前歯部反対咬合の治療行いました。欠損部への補綴前矯正治療として、倒れ込んでいる右側下顎第2大臼歯のup rightと右上第2大臼歯の圧下を行いました。
治療結果として、上下顎歯列ともに整ったキレイな歯並びとなり、前歯部の反対咬合(受け口)は改善され正常で機能的な咬み合わせが得られました。
右下第1大臼歯の欠損部においては補綴医による適切な補綴処置(インプラントによる)を行なっていただくことが可能となりました。
動的治療期間 : 1年8ヵ月
治療費用:約90万円
矯正治療には一般的に以下のようなリスクと副作用があります。
・患者さんによる適切なブラッシングが行われなかった場合に虫歯ができることがあります。
・ブラケット(装置)が粘膜を過度に刺激した場合、口内炎が起こることがあります。
・歯の初期移動の際に痛みを感じる場合があります。(通常数日で治ります)
・長期間の歯の移動により極めて希に歯根吸収が起こることがあります。
・矯正用の取り外し式ゴムを指示通り使用しなかったり、口腔の悪習癖が改善されない場合、計画している歯の動きが得られないことがあります。
・歯の裏側にブラケットを装着して治療を行う場合、装着後一定期間発音障害が起こることがあります。