成長発育期の骨格性反対咬合症例。
- 9～13歳
- 受け口(反対咬合)
- ガタガタの歯並び(叢生)
- 表からの矯正
10歳男児の患者さんです。反対咬合（受け口）を主訴に来院されました。骨格性反対咬合(上下顎骨の前後的な位置不正が原因)です。前歯部の反対咬合と上顎歯列の叢生（ガタガタの歯並び）が認められます。早期矯正治療を開始できたことにより小臼歯非抜歯にて治療を終了できました。
矯正前
Before Ⅰ
Before Ⅱ
Before Ⅲ
Before Ⅳ
前歯部は反対咬合となり咀嚼障害を認めます。また上顎歯列において叢生(ガタガタの歯並び）が認められます。顔面の側貌においては反対咬合特有のリップラインを呈していました（Before Ⅳの写真）。
セファロ分析などの精密検査により、骨格性下顎前突症（上顎骨の劣成長と下顎骨の過成長による上下顎骨の前後的不調和に起因する反対咬合（下顎前突症）と診断しました。
骨格性下顎前突症の矯正治療では、成長期において早期に前歯部の反対咬合を改善することにより、その後の上顎骨の成長を妨げられないようにする事が非常に重要です。また、早期治療により反対咬合に多くみられる上顎歯列の叢生（ガタガタの歯並び）を非抜歯にて治療を進めることが可能です。
矯正後
After Ⅰ
After Ⅱ
After Ⅲ
After Ⅳ
矯正治療のステップとして、
①Expansion plate（患者さん自身で取り外しのできる装置）を使用し上顎歯列の側方拡大を行なうことで上顎歯列のDiscrepancyの解消。
②サジタルアプライアンス（患者さん自身で取り外しのできる装置）を用いて第一大臼歯の後方移動。
③Active plate（患者さん自身で取り外しのできる装置）による上顎前歯の前方移動にて反対咬合の改善。
④上下顎歯列にマルチブラケット装置を装着し、非抜歯にて上下顎歯列の整直を行いました。上顎前歯の前方移動と咬合平面の変化により反対咬合の改善を行いました。
治療結果として、上下顎歯列ともに整ったキレイな歯並びとなり、前歯部の反対咬合（受け口）は改善され正常で機能的な咬み合わせが得られました。矯正治療後はバランスのとれた上下口唇のリップラインとなりました（After Ⅳの写真）。
早期に前歯部の反対咬合の改善を行ったことにより、その後の成長発育期間において良好な上顎骨の成長が起こったことも反対咬合の治療の成功につながりました。
動的治療期間 : 3年7ヵ月
治療費用：約100万円
矯正治療には一般的に以下のようなリスクと副作用があります。
・患者さんによる適切なブラッシングが行われなかった場合に虫歯ができることがあります。
・ブラケット（装置）が粘膜を過度に刺激した場合、口内炎が起こることがあります。
・歯の初期移動の際に痛みを感じる場合があります。（通常数日で治ります）
・長期間の歯の移動により極めて希に歯根吸収が起こることがあります。
・矯正用の取り外し式ゴムを指示通り使用しなかったり、口腔の悪習癖が改善されない場合、計画している歯の動きが得られないことがあります。
・歯の裏側にブラケットを装着して治療を行う場合、装着後一定期間発音障害が起こることがあります。
