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顎変形症に起因する下顎前突症〜インターディシプリナリー治療にて外科的矯正治療を行なった症例〜
- 14~19歳
- 顎変形
- ガタガタの歯並び(叢生)
- 表からの矯正
16歳女性の患者さんです。反対咬合を主訴に来院されました。骨格性下顎前突症で外科的矯正治療の適応症です。当院から口腔外科を紹介し、口腔外科においても顎変形症の診断を受けました。口腔外科とのインターディシプリナリー治療(専門医連携治療)にて外科的矯正治療を行なった症例です。
矯正前
Before Ⅰ
Before Ⅱ
Before Ⅲ
Before Ⅳ
上下顎歯列に叢生(ガタガタの歯並び)を認め、前歯部反対咬合(受け口)、上下顎正中線のズレが認められます。右側の犬歯と左側の第1小臼歯は外側に変位しており、左側上顎犬歯は埋伏し乳歯が残存しています。
セファロ分析の結果、上下顎骨のズレが大きいため外科的矯正治療の適応症と診断しました。外科的矯正治療においては、顎変形症の術前・術後の矯正治療ならびに口腔外科での顎離断手術に対して口腔外科と矯正専門医の連携による治療(インターディシプリナリー治療)が必要不可欠です。
Before Ⅳの写真は下顎骨の後方移動手術のイメージです。
矯正後
After Ⅰ
After Ⅱ
After Ⅲ
After Ⅳ
上顎右側第1小臼歯と埋伏している上顎左側犬歯を便宜抜歯して術前矯正治療を行った後に、口腔外科にて顎離断手術(下顎骨後方移動手術:左右側ともSSRO)を行なっていただきました。顎離断手術後も、口腔外科との連携により、後戻りを防ぐ顎間固定のための顎間エラスティックスなどを用いての術後矯正治療を行いました。
その結果、上下顎の歯列はともにキレイに整いました。咬み合わせは前歯部、側方歯部ともに正常で機能的な咬合となりました。上下顎歯列の正中線も一致させることができました。審美的には顔面の側貌・正貌がともに著しく改善されました。
After Ⅳの写真は下顎骨の後方移動手術のイメージです。
動的処置期間 術前治療期間 : 2y11m、術後矯正治療期間:1y2m
~費用について~
顎変形症の術前・術後の矯正治療ならびに口腔外科での顎離断手術は、顎口腔機能診断施設の認可を受けている医療機関で治療を行う場合のみ、健康保険適用となります。
矯正治療には一般的に以下のようなリスクと副作用があります。
・患者さんによる適切なブラッシングが行われなかった場合に虫歯ができることがあります。
・ブラケット(装置)が粘膜を過度に刺激した場合、口内炎が起こることがあります。
・歯の初期移動の際に痛みを感じる場合があります。(通常数日で治ります)
・長期間の歯の移動により極めて希に歯根吸収が起こることがあります。
・矯正用の取り外し式ゴムを指示通り使用しなかったり、口腔の悪習癖が改善されない場合、計画している歯の動きが得られないことがあります。
・歯の裏側にブラケットを装着して治療を行う場合、装着後一定期間発音障害が起こることがあります。